九州温泉巡り:寒の地獄旅館
やまなみハイウェイを更に南下。九重国立公園内にある『寒の地獄旅館』。この宿は日本秘湯の会にも所属している。
まるで緑青(あの、十円玉に浮いてるサビのこと)を溶かしたような美しい水は、単純硫化水素泉。泉温は年間通して13〜14度。…そう。ここは温泉 ならぬ 冷泉なのである。
九州とはいえ、ゴールデンウィーク前の気温は20度強。そこで14度の水道水よりつべたい水に入ると言うのは、はっきり言って無謀な話しである。行楽に来たはずなのに、いつの間にやら苦行になっている。
男女混浴なので、水着に着替えてどぼん!
…3秒で脱出。
ややや。無理! 無理です! もはや「冷たい」のを通り越して「痛い」もん! 男の子はがたがた震えながら(唇青いぜ。大丈夫か?!)耐えている。
もう一度挑戦したが、私は3分。ツレの女の子は18秒(笑)。その僅かの間に彼女が叫んだ言葉は「おかーさーん。ごめんなさーい! もうお風呂入りたいなんて言いません。出してー! 出して下さ〜い!」…ちなみに このヒト、体育の先生やってるような、気力・体力は人一倍あるツワモノです。
みんなギブアップして、隣の暖房室へなだれ込む。6畳ほどのスペースに薪ストーブががんがん焚いてあって息苦しいほどの熱気。…でも、今はそれすら心地いい。ゔ〜。あったか〜い。
壁には数々の戦歴が。名前と日時、耐久時間が隙間なく書き込まれている。落書きはイケマセン、と思いつつも、見ると1時間以上入ってた強者も…。すごいのぉ。
浴場の壁に掲げられた「冷泉行進曲」は伊達じゃなかったなと納得の苦行であった。あ〜、オモロかった♪
冷泉行進曲
入る前に女将さんから入浴方法が達せられる。
1.まず、手足などにざばざばと水をかける(プールに入る前みたいだ…)
2.手で脇の下を押さえて(体温が急激に下がるのを防ぐため)、ざぶんと一気に入る
3.各自の体力と忍耐力に合わせて入浴。無理は決してしないこと!
4.上がったら、湯飲み1杯分の冷泉を飲むこと
5.冷泉に浸かっていた倍の時間、ストーブで暖を取ること
…あとは、何回かそれを繰り返せばOK。
さむーい! いた〜いっ! ゔぅぅ。まさに苦行である。瞼に母の顔も浮かんじまうというもの。ひ〜。やってみれば分かるけど、4は忘れがちである。あまりにも寒いので、早く暖を取りに行きたくなるからだ。
ここの冷泉は硫黄分が強くて、酸っぱいけど味のない炭酸を飲んでいるみたいだった。飲んで2〜3時間してから猛烈な膨満感に襲われる。…更に、終日胃の中から湧いてくる硫黄臭さに悩まされる。飲むのも程々に、ね(笑)。
ちなみに、冷泉は夏期(7〜9月)しかフルオープンしていない(ストーブを焚いていないからだ)。それ以外の時期は、ツアーか、前もって申し込みをした湯治客にしか開かれていないのでご注意を。その他の季節は、この冷泉を暖めた文字通りの「温泉」をどうぞ…。
前の記事: 九州温泉巡り:筌の口温泉
次の記事: 九州温泉巡り:黒川温泉
2002/05/23 | かづよ備忘録
前の記事: 九州温泉巡り:筌の口温泉
次の記事: 九州温泉巡り:黒川温泉
コメント/トラックバック
トラックバック用URL:
この投稿のコメント・トラックバックRSS