おわら風の盆:祭りのあとで…
祭りが終わったことが受け入れられぬまま、人垣がばらけるのを呆然と見送る。地方(じかた)で三味線を弾いていた女の人の着物が美しくて、ふらりと後ろをついてきてしまった。
湿り気を含んだ夏の名残り風が風鈴を鳴かせている。きりん きりん……。高く乾いた鈴の音と、秋の虫の淋しげな鳴き声だけが町に取り残されている。
朝だ。朝なんだ…。
辺りを幻想的に照らしていた ぼんぼりの明かりは消され、櫛の歯が抜けたようにところどころ取り外され始める。通りを掃くほうきの音と、人々が交わす朝の挨拶。
気が付けば、八尾にいつものイチニチが戻っていた。
アタシは何処に行けばいいんだろう? 何だか高熱を出して寝込んだ直後みたいに、すべてが薄もやの中にあるような気がする。…寝不足だからか? 力無く笑いながら、車に戻らなくては…と はたと思い出す。そうだ。一眠りしてから考えよう。…一眠りしたら……。
とろりとした上質な眠りを貪りながら、この祭りが私の中に深く刻み込まれたのを感じた。…幸せだなぁぁ。
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2002/09/01 | かづよ備忘録
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