神話を巡る冒険：鵜戸神宮＠宮崎

2014/08/01 | かづよ備忘録, オトナの社会科見学, 日本神話を巡る冒険 | kazuyo

鵜戸神宮は社殿が鳥居より低い「下り宮」という珍しい造りになっている。本殿は日向灘に面した崖の中腹に、東西38m、南北29m、高さ8.5mの岩窟があり、その中にある(上記写真左側の大きな穴の中)。

ここは神話を巡る冒険：青島＠宮崎編でも登場した「海幸彦山幸彦」というお話しの主人公、火遠理(ホオリノミコト：のちの山幸彦)の奥さんである豊玉姫(トヨタマヒメ)が子どもを産むための産屋を建てた場所と言われている。

本殿の前に広がるのは日向灘。奇石群が美しい海岸である。
しめ縄が張ってある岩は「亀石」と呼ばれる霊石で、豊玉姫が出産のため海神宮(わたつみのみや)から山幸彦を訪ねてくる際に乗ってきた亀が石化したものと伝えられている。

亀石の石頂にあいている60cm四方の四角い穴に、男性は左手、女性は右手で「運玉」と言われる玉(社務所にて販売：5コ100円)を投げ入れることができると願いがかなうと言われている。

昔はお金を投げ入れていたが、戦後間もない頃、投げ入れたお金を求めて崖を降りていく子がいて問題になったのだそう。そのため、お賽銭に替わるものをと鵜戸小学校、鵜戸神官ともに試行錯誤し、1954年(昭和29年)から鵜戸小学校の子どもたちの作る、粘土を丸め運の文字を押した素焼きの「運玉」が使われることになった。

見事四角の中に入った運玉は神社の人によって回収され「強運のお守り」として1コ300円で販売されている。リサイクルですねw 素晴らしい。
私は1コも入れることができなかったので、買ってしまおうかと思ったのだけど、他人が願いを込めて投げたものを買うというのもどーなのかねと。うーむ。

さておき、鵜戸神宮本殿。
この場所で豊玉姫は出産したと言われている。

豊玉姫は出産直前に「私は海の国の者ですが、天津神(あまつかみ：高天原にいる神と高天原から天降った神のこと)であるあなたの子を海で産むことができません。そのため、こうして陸までやってきました。どうか、波打ちぎわに鳥の鵜の羽で小さな産屋を建ててください。私はそこであなたの子を生みたいと思います」と言った。

山幸彦は大急ぎで産屋をつくりはじめたが、鵜の羽で屋根全部をつくり終わらない内に、豊玉姫が産気づき、つくりかけの小屋で産むことになった。

そのとき、夫の山幸彦に「お産の様子は決して覗かないでください」と言い残して産屋に入った。ところが山幸彦は我慢できなくなり、ついつい覗いてしまったら、中では大きなワニが出産の苦しみでのたうち回っていた。
※「サメ」だったという説もある。

ドン引きして逃げる夫。
恥をかかされたとキレる妻。

歴史はくり返すと言うけれど、山幸彦、お前もか。

ま、そんなわけで、「あなたとは一緒にいられません」と豊玉姫は波打ちぎわに生まれたばかりの子どもを置き去りにして、ワタツミの宮に帰ってしまった。
このとき産まれた子は、鵜の羽を産屋の屋根に葺(ふ)き終わらないうちに産まれたことから、鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズ)と名付けられた。……安直だな。